試金石 2012 4 21

 本来であれば、この時期の国際ニュースは、
アメリカ大統領選挙で盛り上がる時期ですが、
今や連日のように報道される「重慶の変」によって、
アメリカ大統領選挙が、すっかり色あせてしまったように感じます。
 世界中から注目を集めることになった「重慶の変」で、
中国は、どう変わるのか、それが世界の関心事でしょう。
 中世のような「人治国家」を続けるのか、
それとも、現代を象徴する「法治国家」に生まれ変わるのか、
世界中が注目していることでしょう。
 「重慶の変」が単に権力闘争に利用されるだけならば、
世界は大いに悲しむでしょう。
 これが、中国の政治的近代化の契機となれば、
世界にとって福音となるでしょう。
 中国の政治指導者は、「とんでもない話だ」と反発をするかもしれませんが、
アメリカに次ぐ大国となった以上、
世界中から注目されるのは、当然の話です。
極端なことを言えば、箸の上げ下げすら注目されることになるでしょう。
つまり、中国の一挙一動に世界の注目が集まるということです。
それが、アメリカに次ぐ大国となったということを意味しているのです。
 「重慶の変」
 重慶市は、中国の主要都市ですが、
2012年2月に起きた副市長による米国総領事館駆け込み事件は、
同市の薄熙来共産党委員会書記の解任に発展しました。
薄氏は、党の最高指導部、つまり政治局常務委員を目指していました。

衆愚政治 2012 4 15
 私は、2004年8月20日に、
衆愚政治の問題点を書きました。
 聞くところによると、
なんと中国でも衆愚政治が問題になっているそうですね。
 依然として国際ニュースで、
大きな話題になっている「重慶の変」。
 盛り上がりに欠けるアメリカ大統領選挙に比べて、
今、中国では、権力闘争が佳境にあり、
国際ニュースの重要テーマとなっています。
 「事実は小説よりも奇なり」(バイロン)
現実の世界で起こることは、
人間が考えて作る小説よりも不思議で複雑なことのたとえです。
 イギリスの詩人バイロンが、
今の中国の権力闘争を見たら、きっと驚くでしょう。

衆愚政治 2004 8 20
 人気取りの政策は、必ず失敗します。
たとえば、2004年8月19日の日本経済新聞には、このような記事があります。
「新宿の西富久の土地には、旧日本債券信用銀行など複数の銀行が、
総額数百億円の融資をつぎ込んでいた。
 ところが、旧大蔵省が、不動産向け融資を抑制させる『総量規制』を導入。
資産デフレの中で、融資の担保になっていた土地は、
1平方メートル約200万円から55万円に急落。
 担保割れで、融資は不良債権化し、
地上げ途中の土地は、そのまま塩漬けになった。
 土地神話を背景に膨らんだ不動産担保融資は、
地価下落で、巨額の不良債権に姿を変えた。
 銀行は、公的資金注入を受け、
金融再編を繰り返しながら、その処理に10年の歳月を要した。」
 当時は、多くの人が、不動産価格の高騰を、一方的に悪者にして、
これを退治するということで、人気取りをしていたのです。
しかし、こうした人気取りの政策は、必ず失敗します。
 これは、大衆迎合が度を過ぎると、どうなるかという失敗例でしょう。
このケースは、衆愚政治の一例として、記憶に残るでしょう。
 資本主義国において、株式市場は、エンジンであり、富の源泉でもあります。
しかし、日本においては、もうひとつエンジンがありました。
 それは、不動産価格です。
実は、これが、本当の「日本の富の源泉」だったのです。
実質的には、株式市場は影の存在であり、本体は不動産価格だったのです。
そういうわけで、日本においては、ある意味で、
不動産価格は、株価の役割を果たしていたのです。
 たとえば、アメリカにおいて、株価を下げる政策を実施したら、どうなるでしょうか。
おそらく、アメリカ経済は、大混乱となってしまうでしょう。
しかし、日本においては、そういう政策をやってしまったのです。
 不動産融資の総量規制、金利の急激な引き上げ。
こういう政策を実施すれば、不動産価格が急落しますので、
当時の世論からすれば、人気取りとなったでしょう。
しかし、日本経済は、大きく失速しました。
 確かに、バブル経済の時は、多くの問題が発生しました。
しかし、日本の富を使って、世界を救えたのです。
アジアの発展、中東の復興、アフリカの救済に貢献できたのです。
 今、こうした救済をできる国は、一つもないでしょう。
残念なことですが、世界経済は、迷走を続けるかもしれません。
後の祭りですが、日本のバブル経済という繁栄が、世界を救うために使えたのです。










































































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